理想の母親って何? ~どうかお母さんを追い詰めないで~

「自信をなくしてしまいました。母親ってどうしたらいいの?と思ってしまう」
最近、周囲の人たちから「お母さんがもっとしっかりして」という主旨のことばかり言われる・・・と、広場でポロリと出たお母さんのひと言。自我が芽生えて「やりたい」を主張してくるわが子と「おりこうさん」な子ども像を求めてくる世間との板挟みになって、途方に暮れてしまった様子。ご近所さんからは「泣き声がうるさい」と言われ、親や親戚からは「子どもをちゃんとしつけなさい」と言われ・・・

幼児期のお子さんの心は、お母さんにたくさん受けとめられて育まれます。「おっぱい」「だっこ」「あそんで」「ねむい」など、たくさんたくさん受けとめられて、受けとめられる度に自分の存在がたいせつだと実感して、「ありのまま」の自分を愛する根拠のない自信を獲得します。その自信は自己肯定感とも言われ、試練を乗り越える「折れない心」です。そして、人を信じられるようになる「基本的信頼」をもつ心です。

自分を信じられず、他人を信じられないと、幼稚園や学校など集団の生活が難しくなって、トラブルが増えたり、家にひきこもることにもつながります。「受けとめる子育て」が浸透してきている昨今でも、充分に受け止められる前に過干渉なしつけをされて、不安定になっているお子さんがまだまだ多く見られます。早くから完成形を求める世間の目が、お母さんたちを追い詰めているのかもしれません。とてもたいせつな時期の子育てを担うお母さんたちが、悩んで追い詰められている、それでいいのでしょうか?

「ぎゃーっ」と激しくお子さんが泣いているのは、しつけをされていないからではありません。自分のことがわかってもらえないから泣いているのです。それを叱って止めさせようとしても逆効果になるだけです。走り回って落ち着きをなくしているのも、どうしていいかわからないで逃げ回っているのかもしれません。遊びに集中していれば、むしろ騒いだり動き回ったりはしないのだから・・・

自我が芽生えたばかりのお子さんは欲求を言葉で伝えることができません。だから、泣いて訴えて当然です。それを理解して受けとめることは至難の業、お母さんはそれと格闘しているのです。「お母さんはがんばっている」だからこれ以上がんばる必要はない。むしろ、「お子さんと遊んでいるから、少し休んでね」とねぎらい、肩の力を抜いてもらいたい。はたから見て理想の母に見えるのは、ほんとうにお子さんが健やかに育まれる環境なのか、たいせつなことは何か、もう一度考え直して、どうかお母さんを周りから包み込むように見守って応援してあげてください!!

センター長 うえの ゆうこ
ぽけっと相談ダイヤル: 046-876-5788

2022/4/23 | staff | エピソード